『あゝ、荒野』、後編を観終えた。
前編とは打って変わって話の半径が小さく、中心に向かってフォーカスされていくような後編だった。演出はそぎおとされ、より純度の濃くなっていったような展開。
『あゝ、荒野』は、切実な情熱に満ちた、脈が鳴り響くような映画だ。
(Flickrより)
主演の菅田将暉と最後に拳をふるったもう一人の主演である韓国の俳優、ヤン・イクチェンが、キャストメッセージで語っていた、
「ホワイトカラーはブルーカラーにあこがれ、ブルーカラーはホワイトカラーにあこがれるということがあると思います。それは精神を使う人が肉体を使うことにあこがれ、肉体を使う人が精神を使うことにあこがれるということでもあります。『あゝ、荒野』は、肉体的な映画です。精神をすり減らしている多くの人が、身体を動かしたくなるような映画になればいいなと思います」
と言っていたのが印象的だった。
(左から、「ヤン・イクチェン」/「菅田将暉」
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それだけ聞くと、「みんなデスクワークして疲れている人多いからたまには運動すると気持ちいいよ」と聞こえなくもないがおそらく真意はそうではないだろう。
僕にはそれだけ身体ごと動かされるような映画だったし、観終わったあとに歓喜も涙もなく「戦う」ということに拳を握らせてくれた映画だった。
実際にボクシングで拳をぶつけ合う姿は、こんなにも力強くにえたぎるような熱量に満ちたものなのだとあらためておもう。
身体ごと生きていこう。身体に流れる熱量はまだまだあふれんばかりであることを感じる。走って走ってまだまだつかみきれないものを追い続けていこう。ああ、これが力か。