なかなか選べない「テーマ」の話。

ものがたりを書くにも、こういうちょっとした文章を書くにも、テーマは一つであるべきだ。

書く人というのは、得てして書きたいことが多い。なので物を書かせると、その書きたいことがこれでもかと詰め込まれて、読んでいる方としてはそのエネルギーは伝わってくるけれども、「結局なんの話だっけ?」となってしまうのだ。

それは、小説のような、論理的な世界から少し離れた文章においてもそうだ。「小説」と聞くと、「ずいぶん長いものが多い」という風に思われるかもしれないが、日本の小説は短編小説ばかりがあふれている。

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長編小説もないことはないが、大抵はアメリカ文学の20世紀に書かれた500ページを超える辞書みたいに分厚いものだったりする。

そう、みんなに親しみのある小説は、わりに長くはないのだ。短編小説で描けるテーマなんて一つくらいだし、中心となるシーンもせいぜい一つが限界だ。

「テーマは一つであるべきだ」--と考えるきっかけとなったのは、大学のゼミでの話でもある。「いや卒論って膨大な文章と100個以上ものテーマとかぶち込むんでしょ」とかって思っていたので最初はピンとこなかったが、どうだろう。いろんな卒論を読んでみると、意外とテーマが伝わってこないものが多かったりする。

それは、テーマがいくつもあるからだ。実は、テーマを一つに決めるというのはちょっとした決断と勇気が必要となってくる。なぜなら、テーマを一つに決めれば、その周りにあるテーマをいくらか捨てなければならなくなってしまうからだ。

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きっとこれは、料理の話にも似ている。料理人からすればラーメンはゲテモノだ。なぜならラーメンのスープは野菜、肉、魚などのエキスをすべて足しに足す、+(プラス)の思考に基づいて作られていて、飲んだほうはそれがなんの味だか分からないからだ。舌が麻痺するほどにラーメンは「濃い」ものが多い。(もちろん麻痺する快感を求めてこってりとしたラーメンを食べに行くことも昔はあったのだけれど。)

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そこで、料理人は言う。「料理の基本は、引くことだ」と。

必要な分だけ抽出する場合、つまり雑味が出る前に引き上げるときは『出汁をひく』といいます(京都通へのトビラ「和食」―京の料理人に聞く 「出汁(だし)」

ともなんか調べたら書いてあった。

料理といえども、大事なことは”雑味”というノイズを取り払い、おいしいうまみ一つを残すことが、おいしさの届く秘訣なのである。

料理はそんな風に文章表現とも似た性質があって、こんな風に比喩的に用いてしまうほどだ。

小説のようにそのような雑味こそが生きる文章というのは、決してそのようなノイズを消してはならない。(別に小説が次郎ラーメンというわけではなくむしろすっきりとしたカツオ出汁みたいなものだと思っている。そんなに料理と都合よく対応して書けるものではないことがわかってしまった。)

しかし、多くの人が書く文章というのは、きっとノイズの少なく、メッセージが届くものが求められていることだろう。

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だから、勇気をもって、テーマは一つに絞ろう。そのことによってこぼれ落ちてしまった要素のことを、心配する必要もない。なぜなら、一つに絞られることによって、中心にあるテーマが生き、それはすべて詰め込もうとしていたときのイメージをはるかに上回るものだからである。

長めの追伸

すごいそれっぽく、書いてきましたが(自分でテーマは一つにするべきだよねなんてことを書いた手前逃げられなくなったパターンです)、そんなことを、今日のLIFE MAKERSという、ジャーナリストの佐々木俊尚さんの主催するオンラインサロンのイベント、コンパスカレッジで思いました。(笑)

(こちらが本日のイベント)

ゲストは文藝春秋編集者の浅井茉莉子‬さんでした。編集者は勝手にあこがれているけどもあったことのない人だったので、いい機会でした。

LIFE MAKERSに入会してから気づけば2か月。全部顔を出せているわけではありませんが、興味のあるトークイベントがあったり、ときには取材同行の機会なんかもあって、面白いことばかりです。

(しかも学生だと月額2,000円になったから本当にありがたい)

今日の投稿内容は、イベントの内容を僕なりに解釈して書いたらこうなったって感じです。言葉にならない領域もやっぱりずいぶん面白いなと。

そんなわけでした。ではでは。

追伸に次ぐ追伸

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