ちょうど2年前、こんな場所に僕はいました。
場所の名前は「Roy wan phan pba(ロイワンパンパ)」。
大学の休学期間中、海外での初めてのボランティア先に選んだのがここ、ロイワンパンパ(以下ロイワン)。2015年の6月から8月までの2か月間、本当に多くの貴重な経験を得た場所です。
(2015年に撮影した、ロイワンの家族とマレーシアからのボランティア参加者(左)の写真)
2017年、大学生最後の夏休みということで、思い切って再訪することに。2年ぶりに訪れたロイワンは、多くのことが変わっていました。
今回は、再訪して分かった現在のロイワンの様子について書いてみたいと思います。
目次
場所、かわってました
(ロイワンは、タイの南部のナコーンシータマラート県にあります)
いざロイワンに再訪しようと思い立ち、以前コーディネートをしてくれた現地のNGOに連絡すると、「もう場所は変わってしまったんだ」とのこと。
しかも、現地のNGOとロイワンとのボランティアネットワークのつながりもすでに切れてしまっていることが判明。もう海外ボランティアの受け入れを、ロイワンはしていないみたいです。
「えっ…??」と衝撃の事実に驚きながらも、NGOのスタッフと連絡を取り続けると「ロイワン1(ファースト)」と呼ばれる場所へと、すでに住まいを移しているんだとか。
……とまあそんなことが日本出国前には分かっていたので、事前にロイワンの家族と連絡を取ってから、タイに来ました。新天地は果たしてどんなところなんですかね…??
タイの南部にあるナコーンシータマラート空港 – Nakhon Si Thammarat Airport – に到着。
そしてついに、約束の日が。
つきました。「大自然」感満載の敷地内
ここが新天地、「ロイワン1」の入口です。
さっそく、生みたてのにわとりの卵を2つ持たせてくれました。入口から漂う大自然感がすごい。
それにしてもまたずいぶんと大きい敷地です。敷地の中へと進んでいくと……
見事な川に……
手作りのツリーハウスまで。なんて大自然なのでしょう。
「ロイワン1」は、ロイワン一家にとっての”ホームタウン”
ロイワンは以前、海外からのボランティアを現地のNGOを通じて受け入れていました。その時の場所は、現在の「ロイワン1」からは遠く離れた場所にあって、そこに僕は以前滞在していました。
そこでは、作物を育てたり、オルタナティブスクールを開いたり、ロイワンの敷地内に建物を建てたり…といったことを、ボランティアとともに作り上げている場所でした。
しかし、今は場所を以前の住まいであった「ロイワン1」に移し、ボランティアの受け入れもWWOOFへと切り替えたんだとか。
(お母さんも元気でした。プレゼントした富士山の手ぬぐいをかぶっています。)
「ロイワン1」は、いわばロイワン一家にとっての”ホームタウン”。
つまり、以前僕が滞在していた場所は、新しく開拓していた場所だったんですね。ここには、ロイワン家の父のご両親も住んでいて、日々多くの近所の友人が遊びによく来ます。ホーム感、たっぷりです。
まるで里帰り。
(ロイワンと言えば、この少年、ロイ君。たくましく野山を駆けずり回っていました。)
今回は計4日間、ロイワン1に滞在していました。もはや里帰りに来たみたいな気分です。
ロイ君と一緒に川沿いを散策したり、お母さんと一緒にごはんを作ったり、夕方には川をシャワー代わりにして身体を洗ったり…とのんびり過ごしていました。久しぶりに何も考えずにふらふらと、「気づいたら川を2時間もただただ眺めてる」なんて時間も、たまにはいいものですね。
毎週日曜日にはグリーンマーケットも開催されており、お母さんと一緒にこちらの「ルッショッハー」と呼ばれる果物菓子を売っておりました。(味はあんまりないので、砂糖水やミルクをかけて食べます。)
僕も一緒になって売っていると、少し困った事態が。「日本人であることをなかなか分かってもらえない」のです。
(お客さんの声)見た目はタイ人っぽいし、「これいくら?」って聞くと「20バーツです」と流暢なタイ語がかえってくるし……
しかし、なかなかごまかせなくなってきます。「ルッショッハー」という食べ物自体は、そんなにポピュラーなものではありません。なので、みなさん次々に「これってどんな食べ物なの?」「どこで取れたの?」と聞いてきます。
とはいえ、僕はそこまでタイ語が堪能ではないので「ううう……ええとっっ……」と答えに詰まってばかり。
(原材料はこちら。ブルーベリーというよりは、豆みたいな感じですね。)
となるともうお手上げなので、となりにいるお母さんに助けを求めて説明してもらいます。商品の説明に加えて、「この人は日本から来た人で…」と僕の説明までしなければならないから大変です。
お昼時はなかなかに忙しかったので、「日本人であることをなかなか分かってもらえない」つらさが毎度、同じ説明をお母さんにしてもらうたびになにやら申し訳ない気持ちに。
とはいえ、ふらふらとマーケットを歩いているよりも、売るのを手伝っているほうが面白かったのではないか、と思うほど楽しい時間でした。
――このように市場では、いろいろとはり切った時間もありましたが、滞在していた3日間、とんでもなくリラックスした日々でした…久しぶりに東京へ帰ってきたら一気に疲労度が増して大変です…
「ロイワン」のこれからと、自分のこれから。
今回はロイワンの詳しい事情についての話は割愛させていただきますが、今後、また以前のように新しい場所へロイワン一家は移ることはないと言います。
ですので、これからは「ロイワン1」の場所で活動を進めていくと、ロイワン家のお父さんも話していました。いくらか書いたように、WWOOFでの受け入れ、新しいオルタナティブスクールの設立、ツリーハウスの建築などに向けて、すでに動き始めていました。
なんでも自信をもって、自分たちの力で新しいことに向かっていこうとする姿。そんな姿を見て、安心する気持ちとこれからの活力が、僕自身にも一気に押し寄せてきたような気がします。
ここにいると、なんでも「やってみる」ということがとんでもなく自然なことのように感じられます。僕らは普段、なにかに挑戦をしたり、新しい学校を作って始めたりといったことになると、どうしても無駄な「力み」に阻まれてしまいがちです。
ですが、ロイワンに来ると、難しいことでも不思議に「とりあえず、やってみようか」という気になってくるのです。DIYの精神にあふれている、とでもいうか。これは、2年前に滞在していたときにも感じたことです。
(「押すなよ…押すなよ…」と言いながらも毎度押されて震えながら渡る図)
不自然なことにはとことん疲れてしまっている今だからこそ、自然な力で縦横無尽にやりたいことをやっていこうという、自分のこれから。
これからまた新たなスタートを切っていこうという、ロイワンのこれから。
名残おしくも帰りましたが、数年後にまた訪れる日が楽しみです。