2019年に読んでよかった本ベスト14冊

2019年に読んでよかった本ベスト14冊

Created
May 2, 2019
Tag
Essay

「2019年に読んだ本」を随時更新していく記事になります。

主にビジネス・小説系などを読みますが、エッセイとか雑誌とか料理本とかも読んだりするので割合はけっこうバラバラです。

(「ベタで有名なやつだけ読めればいいや」って人にはちょっと偏りがすぎる感じになってしまうので、Amazonの売れ筋ランキングを見るのをおすすめします……→ https://amzn.to/2UUawJE )

紹介するのは、おすすめしたい本のみ。

そもそもおすすめしたくないような本は立ち読みで終わったり、途中で読みやめたりしていますからね……。

というわけで2019年に読んだおすすめ本を紹介していきます。

『美女と野球』(リリー・フランキー)

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』などで有名な俳優のリリーフランキー さんのエッセイです。

編集者の長谷川リョーさんが記事で紹介していたのがきっかけで気になって読んでみたら、めちゃくちゃ面白かったです。

9割方はくだらなくて笑えるような面白い話なので、とにかく「おもしろい話が気軽に読みたい!」という人にはおすすめしたい本(笑)。

・女性のヒゲが気になって仕方がない話 ・昔バンド活動をしながら全国を回っていた話 ・雑誌の読者投稿をすごい熱量でする人をリリーさんが好きになってその人の個展まで開いちゃう話

などなど、リリーさんが人生で体験しきてきたエピソードの豊富さに驚きます。

上記の長谷川リョーさんの記事に「自分はなにを、自分の視点で語れるか」とあるように、「自分の文体で書く」とはどういうことかを体感させてくれる良書だと僕もおもいました。

『さよなら未来」(若林 恵)

元WIRED編集長の若林恵さんがこれまでに書いてきたエッセイなどを一冊にまとめた本。

結構分厚いです。(つまみつまみ読んでいたら、読み終えるのに半年かかりました……

テクノロジー、音楽など、多岐にわたるテーマについて書かれています。「何か答えがある本」というよりかは、「そもそもどういう答えであるべきか」と考察が巡らされた本。若林さん節の効いた一冊になっており、つまみつまみ読みながら、あれこれ考えを巡らせることの楽しさを感じることができます。

何より、「言葉で語れることはこんなにもあるのか」と、若林さんの文章力には脱帽。

気になるテーマからつまみつまみ読むには、それほど難しい内容の本ではないとおもいます。

さまざまなテーマに触れながら、「答え」ではなく、自分なりに考えを巡らせたいようなときにおすすめの一冊です。

『エピック・コンテンツマーケティング』(ジョー・ピュリッジ)

コンテンツマーケティング戦略の第一人者とされている、ジョー・ピュリッジが書かれた本。常に受け手の満足度を意識し、無駄にならないコンテンツを生む「編集者視点」の重要性について、丁寧に書かれています。

最大の障害は「なぜこうなったのか」の部分にあるとわれわれは考えた。もしみんなが編集者のように考え行動したなら、顧客が求めるコンテンツをもっと作り出せるようになる──そして無視されるコンテンツは減る──と。

読んだ感想としては、具体的な事例も多くあげられていて、おもったよりも平易で読みやすいなとおもいました。

メディア運営等に携わる人など、コンテンツを通じたビジネスなどに関わる人に強くおすすめしたい一冊です。

『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 』(尾原和啓)

マッキンゼー、グーグル、NTTdocomo、楽天執行役員、2回のリクルートと職場を転々した、ITプラットフォームに精通した尾原和啓さんが書かれた、

「テクノロジーの進化がもたらす未来の形と、それに伴う人間の生き方」

についての一冊。

現代の若い世代の人のことを「乾けない世代」と表現しているのが、とても的を射ているなあと。

「ないものがない」時代から生きる「乾けない世代」は、上の世代に比べ、「達成」や「快楽」よりも「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」に意味を置く世代であること。この世代だからこそ作れる「新しい価値」があるということ。

たしかに周りの友人をみていると「給料よりもやりがい」「あまり無意味なことはしたくない」志向の人が多いような気がいたしますね……。

『メルカリで頻繁に売買されているモノのひとつ』の例としてあげられていた『使いかけの口紅』に見る、『生まれたときから周囲がモノで溢れていた「ないものがない」世代が大好きな、既存のモノに「新しい意味」を提供することで「今あるものが全く違う魅力あるものになる」という新しいビジネスのあり方』の話のように、「乾けない世代」が生み出すビジネスやこれからの可能性についての話がおもしろかったです。

ボリュームはそこまで多くなくサクサク読める感じです。

今まさに「乾けない世代」だという人も、それより上の世代だけどこれからどんなビジネスの可能性があるんだろう、みたいな疑問をもっている人はぜひ。

『ゲンロンβ32』(東 浩紀)

批評家・東浩紀さんが編集長を務める思想誌『ゲンロン』の姉妹誌。内情のゴタゴタ話もあったりした時期に書かれた本みたいですが、内容としてとても面白いです。特に序盤の東さんが書かれていた中に、けっこう面白い話が出てました。

「運営と制作を切り離すことは危険だ」と売り上げつくることと書籍を作っていくことの関係性の難しさ、みたいな話について触れながら、ゲンロンが行う制作で重要としている「誤配」の概念がおもしろかったです。

「誤配」とは何かについては、下記の箇所で詳しく触れられています。

最初に欲望=予測していたものとは違うなにかを受け取ってしまう。だからそれは「失敗」である。けれども同時に、それは、べつの視点から見れば、購入者の欲望=予測が「変形」され、新たな創造性の回路が開かれるということでもある。

「誤配」で”言論(ゲンロン)”を拡張していきたいんだ!運営と制作が分かれちゃうと、この「誤配」が不可能になってしまう

みたいな話につながっていくのですが、「たしかにこのバランスは難しそうだなあ……」としみじみ読んでいました。(あと内容は全体的にけっこう難しかったりします。とはいえじっくり読むと味わい深い評論雑誌なので、他の号もちろちろと読んでみたいとおもいます)

『紋切型社会』(武田 砂鉄)

武田さんの言葉は鋭い。

「全米が泣いた」「逆にこちらが励まされました」など、何度も使い回されている紋切型のフレーズをテーマに、武田さんが批評という批評を重ねていくスリリングな一冊。

結婚式でスピーチをしたら、『どうして「ご両家におかれましては……」のくだりを入れないのかと深刻そうな顔で問い詰められた』話などが印象的でした。

※調べたらそのスピーチのくだりだけ立ち読みできるらしいのでよかったら

『なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?―― 3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策』

Webサイトづくりにおける戦略の立て方や、マーケティングの施策の基本的な考え方について書かれた本。

「Webサイトデザイン周りの話はそういえばあまり知らないなあ……」と思ったので読むことにしました。

本記事で紹介したエピックコンテンツマーケティングの本と同様、

・良いコンテンツは使い回すことができる・コンテンツを作ってなすべきことは訪問者の数を増やすことではなく、質の高いコンテンツで訪問者(お客様)を満足させること

など、コンテンツマーケに関連した内容も出てくる、網羅性の高い一冊です。

「Webサイト」を軸に説明されている本なので、「もうちょい基本的なことが知りてえよ!」って人は次↓に紹介する 新版 マーケティングの基本 この1冊ですべてわかる(安原智樹) がおすすめです。

『新版 マーケティングの基本 この1冊ですべてわかる』(安原智樹)

「Webマーケから離れてそもそもなマーケの基本あたりを抑えたいな……」と思いポチりました。(完全に読む順序を間違えたことに気がついた瞬間です笑)

かの「4P」「4C」の話からはじまり、なんとなくイメージしやすい「商品開発」を軸にした話とからめて超網羅的に説明してくれる、良心的な本です。「それはわかってるから読み飛ばそ〜」な箇所もあるので、そんな場合は読み飛ばして「あんまり知らねえな……」なところを読むといいかもです。

辞書的な使い方としてナイスな本なので、都度振り返りたい用語やテーマがあったら読み返そうと思います。

すすめ方としてだいぶざっくりしてしまいますが、「マーケティングをきちんと一から勉強したい!」とお思いの大学生〜社会人におすすめです。

『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』(中野 崇)

これ、けっこうおもしろかったです。

マクロミルの方が書かれた本なのですが、「データ・ドリブンであること=ビッグデータ活用」と短絡的に考えてはならぬよ!と、データ分析や実行のステップを具体的にわかりやすく解説してくれています。

「データ活用ってどうやったらいいんだろう?助けて!!」という初歩の疑問に的確に答えてくれる一冊です。

「価値のあるデータとは」の問いに対して、「説明力(予測)を高めるようなデータ」だ

と明確に答えていたのが印象的。

「データを活用しようぜ!」となりがちですが(実際僕もそうでした)、「意思決定やアクションにつなげられるか」という観点は忘れずにも持ち続けねばと思いました。

『田舎の未来 -手探りの7年間とその先について』(さのかずや)

さのかずやさんが、教育実習で帰っていた北海道の実家のパソコンで書いたブログから始まる一冊。

田舎と都会を行き来するなかで感じた「田舎の未来」について平易な言葉でつづられています。

本をタバブックスさんで注文したところ、手書きのメッセージまで添えて送ってくださいました。うれしい。

『考える技術・書く技術』(バーバラ ミント)

コンサル出身の人がコンサルする人向けに思考や文章の整理・検証について書かれた本のような感じです。どこかのライターさんがおすすめしていたので、「ロジカルな文章かけるようになりたい!そもそも頭の中整理して考えられるようになりたい!」と意気込んで読みました。

で、読んでみましたが、これまで紹介してきた中ではダントツで難しかった本です……(誰か解説して……)

とはいえ、文章を書く上では(特に構成づくりの面では)大事なポイントが理路整然と書かれていたので、折にふれて読み返しながら、身に染み込ませていきたい本です。

『確率思考の戦略論』(森岡毅)

USJをV字回復させた森岡さんが書かれた本。

「上級者向け」と紹介されることの多いこの本ですが、「文系の人でもわかるように書いた」と本書の中で書かれているように、そこまでとっつきにくいような本ではありません。実際に文系の僕でもとても面白く読めました。

「人の判断はコンテクストに左右され、人は期待したことに対して評価する」と人の心理的な判断にまで確率の分析対象は及ぶ徹底ぶり。まず「数字でここまで分析しきれるのか!」とびっくりしましたし、どう戦略に落とし込んだらいいのかのヒントになるような内容が書かれていてとてもよかったです。

『実験思考 世の中、すべては実験』(光本勇介)

即現金化アプリ「CASH」の光本さんの頭の中がこれでもかとつまった1冊です。

これまで光本さんが立ち上げられてきた事業や、「こんな実験がやりたい」と光本さんが考える未来予想図やアイデアが惜しげも無くつまっています。

<面白かったポイント>

  • オランダあたりにある「無料の売春宿」からみる「覗き見市場」の大きさ
  • 「見せ方、表現、ブランド」次第で市場は変わる
  • 「サービスの明暗を分けるのは、世界観、体験、表現だ」

ちなみにこの本自体が「実験的な試み」となっており、Kindleだと無料で読むことができ、読んだ人が自由に価格を決めて支払うことができるようになっています。

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング)

「そもそも自分はどれだけ世界について知っているのだろう?」と思わずには読めない本。

本能的に人は不幸なニュースに目がいきがちで、二項対立的な考えを持ってしまったりする。だが実際は極度の貧困層の割合は20年前と比べて半減しているし、いくらかでも電気が使える人は世界で80%を越えている。また、発展途上国と先進国の2つの区分の間には見るべきグラデーションが多くあって、4つの分類でみた方がいい、などの話について書かれている本です。

著者自身もこういう間違いを本能的にしてしまっていた、などと医者や研究者としてのエピソードも豊富に書かれていて、自分も、他人も自然と間違いは起きてしまうものだなあとおもいました。

内容は全て誰でも思い至るような思い込みやテーマについてなので、正しい世界の見方のヒントがほしい、などと気になった人はぜひ読んでみてください。

というわけでここまでが今回紹介してきた、2019年に読んだ本(現時点)の紹介でした。

正直あんまり面白くなかったな……という本は本記事には書いてないので(個人的なメモには残しています)、どうしてもそちらが気になる人は僕に直接ご連絡ください(笑)。

どれか一冊でも気になった本があれば幸いです。

ではでは。